PBRは目安に過ぎない!?

PBR(株価純資産倍率)とは

PBR(Price to Book Ratio)とは、株価が企業の純資産(簿価)に対してどのくらいの倍率で取引されているかを示す指標です。計算式は次の通りです:

PBR = 株価÷BPS(1株当たり純資産)

PBRが1倍未満であれば、株価が純資産を下回っているため、割安とされることが多いです。逆に、1倍を超えていると株価が純資産以上で取引されており、割高と見なされる場合があります。

この指標を基に、PBRが低い企業を割安と判断して投資するのが「PBR投資」です。しかし、この手法にはいくつかの欠点があります。

PBR投資の欠点

1. 純資産の質に問題がある可能性

PBRは、企業の純資産に基づく指標ですが、企業が保有している資産の価値が実際の市場価値と一致していない場合があります。企業の簿価は、帳簿上の価値であり、市場価値とは異なることが多いのです。

例えば、企業が大量の古い設備や減価償却されていない不動産を保有している場合、その簿価は高いまま残っているかもしれませんが、実際には市場での価値が大幅に下がっている可能性があります。そのため、PBRが低いからといって、その企業が本当に割安であるとは限りません。

2. 成長性を無視した指標である

PBRは企業の資産価値を基に割安かどうかを判断する指標ですが、企業の将来の成長性を反映していません。成長性の高い企業は、資産価値以上の将来のキャッシュフローを生み出す可能性が高いため、PBRが高くても投資価値がある場合があります。

PBRが低い企業に投資する場合、成熟した業界や成長が停滞している企業が含まれることが多く、短期的な値上がりを期待しにくいというリスクがあります。成長性を無視して割安株を選ぶと、パフォーマンスが限定的になる可能性があります。

3. 業界特性による影響

PBRは業界によって適正な値が大きく異なります。例えば、金融業界や不動産業界では、資産価値が重要なためPBRが評価において大きな役割を果たしますが、ITやハイテク業界では、資産よりも知的財産やソフトウェア、ブランド力など無形資産が企業価値を左右することが多いです。

そのため、PBRが低い企業に投資する場合、資産集約型の業界では有効かもしれませんが、技術革新の早い業界では適切な指標とは言えないことがあります。

4. バリュー・トラップのリスク

PBRが低い企業は一見割安に見えますが、「バリュー・トラップ」に陥る可能性があります。バリュー・トラップとは、企業の株価が長期間にわたり割安のまま放置される状態のことです。この場合、株価が上昇するのを待っても、企業のファンダメンタルズが改善しない限り、投資リターンを得ることが難しいです。

特に、経営が低迷している企業や、業界自体が縮小している企業の場合、PBRが低いことは単にその企業や業界の将来性のなさを反映しているに過ぎないこともあります。

5. 負債を考慮していない

PBRは純資産を基に計算されるため、企業の負債状況を十分に反映していません。企業が多額の負債を抱えている場合、PBRが低くても、実際には経営リスクが高く、破綻の可能性が高い場合があります。特に、資本構成や財務健全性を無視してPBRだけに基づいて投資を行うと、企業のリスクを過小評価してしまうことがあります。

PBR投資における正しい考え方

PBR投資を行う際には、いくつかの重要な点を考慮することで、リスクを軽減し、より効果的な投資判断を行うことができます。

1. 資産の質を確認する

PBRが低い企業に投資する前に、その企業が保有する資産の質を確認することが重要です。企業の資産が現実的にどれほどの市場価値を持っているか、またその資産が将来的にどのような収益を生む可能性があるかを検討する必要があります。

2. 成長性と収益力を評価する

PBRだけでなく、成長性や収益力を併せて評価することが重要です。例えば、PBRが低くても、企業の利益成長率やROE(自己資本利益率)が高い場合は、将来的に評価が改善される可能性があります。逆に、成長の見込めない企業に投資しても、リターンが得られない可能性があります。

3. 業界の特性を考慮する

PBRは特定の業界において有効な指標ですが、業界特性を考慮することも必要です。例えば、資産が主な収益源となる業界(不動産、金融など)ではPBRが有効な指標となりますが、無形資産が主な価値を持つ業界(IT、ハイテクなど)では、他の指標と併せて評価することが求められます。

4. 財務状況をチェックする

企業の財務健全性を確認することも欠かせません。負債が過度に多い企業は、低PBRであってもリスクが高く、投資判断には慎重さが必要です。特に、キャッシュフローや負債比率、資本構成をチェックすることで、企業のリスクを評価しましょう。

まとめ

PBR投資は、株価が企業の純資産に対して割安かどうかを判断する一つの方法ですが、その欠点も多く存在します。純資産の質、成長性の欠如、業界特性、バリュー・トラップのリスクなどを十分に理解し、他の指標や分析と組み合わせて判断することが重要です。単純にPBRが低いからといって安易に投資するのではなく、企業の財務状況や将来の成長見込みを慎重に見極める必要があります。

おまけ

 最後に私がPBR投資でまぐれで大きな利益を上げた経験と、その経験からPBR投資を辞めた事例をご紹介します。

 少し昔の話ですが、グレイステクノロジーという会社がありました。その会社は、経営者があまり良い感じではなく、パワハラが凄かったという話がありました。その会社は、毎年素晴らしい右肩上がりの決算を出しており、株価もそれを評価してテンバガーになりました。しかしある日、それが粉飾決算を繰り返していたことが明るみになりました。そのニュースが出た次の日から株価はどんどん下がっていきました。そして、元の株価に戻って(逆テンバガー)となり、株価は底を打ちました。そこで私はこの粉飾決算は解決可能な問題なのではないか?もし、解決可能な問題であった場合、今の株価で買えばまたテンバガーするのではないか?しかし、なんか嫌な感じがしたためその後の発表を待って投資することにしました。そして、それからしばらくして発表された内容が…要約すると「不正が多すぎて手に負えないから上場廃止します」という衝撃的な内容でした、それから株価は急落。59円だった株価が3日で14になり底を打ちました。この時のPBRは0.3倍でした。そして私は考えました。「この株価で全部買い占めて会社を解散させたらすぐに3倍の利益を得られるのではないか?」しかし、当然そんな財力はないため、資産の20%程度で15円の株を買い集めました。それからすぐに株価が急騰して買ってから3日で48円(+200%)になりました。そして私はまた考えました。元々3倍の利益を得るために買っていたのだから、これをホールドしても意味がないのでは?ということで45円で全て売却しました。

そして上場最終日。株価は18円でした。PBRは0.4倍程です。ここに全財産をつぎ込めば2倍は固く取れるのではないだろうか?しかし、当時の私は経験が浅かったため、とりあえず100株だけ買って(1800円)その後どうなるのか観察してみよう。もし、上場廃止後すぐに会社を解散するように機関投資家が動くのであれば今後この方法は使えるかもしれない。ということにしました。

では、その後どうなったか?何度も何度も赤字を出して、社員がどんどんやめていき、会社の資産が減っていって、最終的にはどこかの会社が買収するからという理由で強制的に株を買い上げられました。その時の値段は覚えていませんが、14.2円だったそうです。

PBR0.4倍の株を18円で買ったにもかかわらず、数年ホールドして売却額は14.2円でした。この事例から私はPBRを指標の一つとして捉えることが大事なのだと実感しました。

バリュー投資とは?

バリュー投資とは

 バリュー投資は、株価が企業の本質的な価値に対して割安である時に投資を行い、将来的な株価上昇を期待する投資戦略です。この手法は、著名な投資家であるベンジャミン・グレアムやウォーレン・バフェットが実践したことでも知られています。基本的なアイデアは、「市場は短期的に誤った評価をすることがあるが、最終的には企業の本来の価値に価格が修正される」という考え方です。

バリュー投資の基礎

バリュー投資家は、企業の財務諸表収益性配当利回り、PER(株価収益率)などを分析し、市場価格が割安だと判断される企業に投資を行います。例えば、経営が堅実で利益を安定的に上げているが、何らかの理由で一時的に株価が低迷している企業に注目します。こうした割安な株に投資し、企業の成長や市場の回復を待つことで、長期的にリターンを狙うのがバリュー投資の基本です。

バリュー投資の欠点

バリュー投資は理論的には非常に有効な戦略とされていますが、実際の運用にはいくつかの課題やリスクがあります。

1. 割安な株が長期間割安のままである可能性

バリュー投資家が「割安」と判断した株は、企業のファンダメンタルズが健全であっても、長期間にわたり市場から適正評価を受けない可能性があります。これを「バリュー・トラップ」と呼びます。株価が低迷している理由が単なる市場の誤解ではなく、実際に業界全体の低迷や、企業の成長が見込めない状況である場合、株価はずっと低迷し続けることがあります。

2. 市場全体がバリュー株を見向きしない局面

特定の時期において、テクノロジー株や成長株への市場の注目が高まり、バリュー株への関心が薄れることがあります。例えば、近年のように成長株が市場をリードする局面では、割安株が市場の注目を集めにくく、思ったようなリターンを得られないことがあります。これにより、投資家が焦って売却してしまい、利益を取り逃すことも少なくありません。

3. 市場の効率性

現代の金融市場は情報が瞬時に共有されるため、市場が本質的に効率的であるという説(効率的市場仮説)もあります。この理論によれば、株価にはすでに全ての情報が織り込まれており、割安株を見つけるのは非常に難しいとされています。そのため、バリュー投資家が優れた企業を割安に購入すること自体が難しくなっていると指摘されています。

バリュー投資における正しい考え方

1. 長期視点を持つ

バリュー投資の本質は、長期的な視点で企業の価値が市場によって正当に評価されることを待つということです。短期的な株価変動に一喜一憂せず、企業のファンダメンタルズに基づいた判断を維持することが重要です。市場の一時的な動きに振り回されないためには、~5年という時間軸での投資を考えるべきです。ちなみに、バフェットは師であるグレアムの手法を守り、5年で上がらなかった株は全て売却し、株価が50%上がった場合利確をするという手法を使い年利20%という驚異的なリターンを出していました。

2. 分散投資を心がける

バリュー投資においても、リスク分散は重要です。いくら割安な株に投資しているといっても、特定の企業やセクターに集中投資すると、大きなリスクを抱えることになります。複数の企業や業種に分散して投資することで、特定のリスクを緩和し、全体として安定したリターンを狙うことができます。バフェットとグレアムがバリュー投資を行っていた時は100銘柄以上に分散させていました。

3. バリュー・トラップに注意する

割安株を見つけることがバリュー投資の基本ですが、単に株価が低いからといって購入するのは危険です。割安な理由が本質的な問題によるものである場合、それは将来にわたり業績が回復しない可能性が高いからです。企業の将来性や業界のトレンドを慎重に見極めることが重要です。

4. 感情に流されない

株式市場では、投資家心理が大きく影響します。バリュー投資家は、他の投資家が悲観的になり株価が低迷しているときに買い、反対に市場が過熱し楽観的になっているときに売ることが推奨されます。しかし、これを実践するためには、冷静な判断と感情をコントロールする力が求められます。短期的な市場の騒音に惑わされないことが、バリュー投資家にとって大切です。

まとめ

バリュー投資は、長期的に割安な企業に投資し、その企業が持つ本質的な価値が市場で評価されることで利益を得る戦略です。しかし、その実践にはいくつかの欠点も伴います。市場の注目が集まらず、長期的に割安のままになる「バリュー・トラップ」や、効率的市場仮説の影響により割安株を見つけること自体が難しいという課題が挙げられます。

それでも、長期的な視野を持ち、分散投資を行い、企業のファンダメンタルズに焦点を当てることで、バリュー投資は依然として有力な投資手法となり得ます。重要なのは、市場の短期的な動きに左右されず、冷静に投資判断を行い、リスク管理を徹底することです。

では、バリュー投資はどの値を見れば良いか?よくPBRで割安か割高かを判断すると言われます。しかし、それは個人的には間違っていると思います。

インデックス投資をしないで〇〇を買う

私がインデックス投資を行わず個別株を選ぶ理由

 株式投資を考える際、まず多くの人が検討するのはインデックス投資です。S&P500や日経225といった市場全体を追随するインデックスファンドは、長期的に安定したリターンを期待できる方法として広く支持されています。加えて、ドルコスト平均法を利用して長期にわたり投資を続けることで、相場の上下動に左右されず、安定的な運用が可能です。

 しかし、インデックス投資には欠点もあります。この記事では、インデックス投資の限界を指摘し、個別株への投資が高いリターンを期待できる理由について考えていきます。

インデックス投資の限界

 インデックス投資は市場平均に連動するため、言い換えれば「平均的なリターン」しか得られません。S&P500の長期リターンは年率6〜8%程度と言われていますが、このリターンは市場全体に分散されているため、大きなリターンを狙うことが難しい場合があります。特にドルコスト平均法を用いると、購入価格が分散されるメリットがある一方、急激な上昇相場においては、リターンが抑制されてしまう可能性もあります。

 インデックス投資の大きな欠点は「悪い意味でも分散される」ということです。要するに、平均より劣った企業が平均より優れた企業の足を引っ張るということです。

個別株投資の魅力

 個別株投資は、リスクが高い一方で、特定の企業の成長に投資することで、インデックス投資を上回るリターンを狙うことが可能です。例えば、日本の5大商社(三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅)は、長年にわたり分散されたビジネスを展開し、多様な収益源を持っています。さらに、米国株ではバークシャー・ハサウェイのように、事業の多様化と慎重な投資戦略を通じて、投資家に高いリターンを提供してきた企業もあります。

 これらの企業は、単一のセクターに依存せず、複数の産業で事業を展開しているため、自然とポートフォリオが分散され、インデックス投資に近い安定感を持ちながらも、高い成長性を期待できるのです

過去20年間のリターン比較

 次に、S&P500、日経225、日本の5大商社、バークシャー・ハサウェイの過去20年間のリターンを比較してみましょう。

投資対象過去20年間の平均リターン(年率)
S&P500約7%
日経225約4%
日本の5大商社平均約8〜10%
バークシャー・ハサウェイ約9〜11%

 このデータからも分かるように、日本の5大商社バークシャー・ハサウェイのような個別株は、インデックス投資を上回るリターンを実現してきました。これらの企業は、それぞれの市場やビジネス環境に強く適応し、投資家に安定した成長を提供してきました。

今後の展望と注意点

 もちろん、過去のリターンが未来を保証するわけではありません。株式市場は常に変化しており、これまで高いリターンを示してきた企業が今後も同じパフォーマンスを発揮する保証はありません。投資においては、過去の実績を参考にしつつも、今後の市場動向を慎重に見極め、自分自身でリスクを管理することが重要です。

 また、個別株投資にはインデックス投資にはない特有のリスクがあります。特定の企業や業界に依存するため、企業の業績や外部環境の変化によっては、想定外の損失を被る可能性もあるのです。このため、個別株に投資する際には、企業の財務状況や市場環境、成長戦略を十分に理解することが求められます。

最後に

 インデックス投資は、安定したリターンを提供し、多くの投資家にとって安心できる選択肢です。しかし、より高いリターンを求めるならば、個別株への投資が一つの有力な選択肢となります。特に、分散された事業を展開し、長期的に成長している企業を選ぶことで、リスクを抑えつつもインデックスを上回る成果を期待できるでしょう。

 ただし、過去のパフォーマンスが今後も続くとは限らないため、あくまで慎重な判断とリスク管理が必要です。投資は自己責任で行い、自分のリスク許容度に合わせた戦略を構築しましょう。

 ちなみに私は、5大商社株もバークシャハサウェイ株も持っていません。自分の能力を過信しすぎた結果、大きな損失を出しつつ、株価の急騰局面に乗れなかったという苦い経験からこの記事を書こうと思いました。

 ただ、長い視点で見れば、またいつかこれらの会社の株を購入できる絶好のチャンスが巡ってくると思います。それはバフェット亡き後になるかもしれませんが、私は尊敬する偉大なる投資家が作り上げた世界一のコングロマリットを信じて買いますし、子供の口座でも買う予定です。しかし、それは今ではないと思っています。

 

人が強欲な時は臆病に、人が臆病な時は恐る恐る

ただし、相場を出し抜けると思ってはいけない

バフェットが日本の5大商社に投資した理由とは?それに対する個人的な感想

 ウォーレン・バフェットは、世界的な投資家として知られ、その長期的なバリュー投資の手法で莫大な富を築き上げてきました。彼の投資判断は常に注目されており、最近では日本の5大商社(伊藤忠、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)への投資が大きな話題となりました。この決定には多くの理由があり、またその背景にはバフェットらしい戦略が見え隠れしています。今回は、バフェットがなぜ日本の商社に注目したのか、そしてそれに対する個人的な見解をまとめてみました。

1. バフェットが5大商社に投資した理由

 まず、5大商社が持つビジネスモデルは非常に多様化されています。エネルギー、資源、化学、食品、さらには金融サービスまで幅広い分野に進出しており、そのグローバルなネットワークが強みです。これにより、一つの分野が不調でも他の分野で補うことができるため、安定した収益を生み出す基盤を持っています。

 さらに、バフェットが注目したポイントとしては、日本の商社は配当利回りが非常に高いことが挙げられます。商社は大きなキャッシュフローを持ち、それを株主に還元する姿勢が強い企業が多いです。バフェットの投資スタイルにおいて、安定したキャッシュフローと高い配当は魅力的な要素となるのは当然です。

 また、バフェットは日本市場を長期的な視点で評価しています。近年、欧米市場に比べ日本市場の株価は割安と見なされており、特に為替リスクを回避しつつ日本円建ての資産を保有することで、リスクを分散できる点も彼にとっては有利な判断材料となったのでしょう。

2. バフェットの投資戦略と日本商社のシナジー

 バフェットは常に「分散」と「安定」を重視してきましたが、日本の商社はその要件に見事に当てはまります。5大商社はいずれも多様な事業ポートフォリオを持ち、それぞれがエネルギー、素材、食料など異なる分野で強みを発揮しています。この分散された事業構造は、リスク管理の観点からもバフェットにとって魅力的だったはずです。

 また、商社の事業は長期的に見ても安定しており、資源価格の変動や世界経済の動向に柔軟に対応できる体制を持っています。これもまた、長期的なバリュー投資家であるバフェットにとっては理想的な特徴です。

3. 個人的な見解

 『5大商社は、それぞれが巨大なコングロマリットであり、日本版のバークシャハサウェイのようだ』と、バフェットは言っています。

 では、なぜバフェットは今まで投資してこなかったのに、今回投資を行ったのか?それは、今回の5大商社への投資は、歴史的な円安及び急激な資源高が大きな理由となっているからです。

 バフェットは長期投資家と言われますが、実際は7割以上を数年で売却しており、長期で握り続けている会社はほんのわずかであります。

 円安(バフェットにとってはドル高)が急激に進んだことで、大きな安全マージンを得ることができました。例えるなら、私たちが1ドル80円で米国株を買うようなものです。

 もし、1ドル80円の超円高になった場合、私はバークシャハサウェイに大きく投資するつもりです。なぜなら、バフェットが5大商社を日本版のバークシャハサウェイと言ったように、バークシャハサウェイは米国版の5大商社と言うことができるからです。それはバフェットが亡き後も変わらないでしょう。

 今回の大きなチャンスの際に、私は5大商社への投資を行うことができませんでした。これは本当に反省するべきことであり、とても後悔していることでもあります。ただ、今回の経験を踏まえて次に同じようなチャンスが到来した場合には資産の大部分を5大商社に投資しようと考えています。その時には、バークシャハサウェイにも大きな額を投資していると思います。

コロナショックの時に総合商社を買わなかった理由とその投資判断

結論

私の投資判断は間違っていました。永続的優位性のある会社を過小評価しており、その代わりに買った他の会社を超過大評価していました。

総合商社を選ばなかった理由

当時の私は「10年以内にテンバガーになる株」を探していました。そのためには、時価総額が低く、大きな問題を抱えているが、それは解決可能であり、その問題を乗り越えた後に大きく成長していく会社というのが私の投資基準でした。

当時全力で買い集めていたのは、スタジオアタオです。私の計算では業績が元に戻ればPER10倍計算で株価15倍、PER30倍で株価約50倍、PER100倍で株価100倍などと、超楽観的に考えていました。それに対して、総合商社。例えば、伊藤忠商事。なぜこの会社かというと、私は商社といえば伊藤忠商事しか知らなかったからです。というより、知らない人いるのか?というくらい当時の私でも知ってるくらいの知名度の高い会社です。その伊藤忠商事の当時の配当利回りは4%。当然経済が停滞していたため、ROEは低く、過去の株価を見ても、仮にコロナを乗り越えても株価はそこまで上がらないだろうと思っていました。おそらく、上がっても2~3倍程度だろうというのが私の判断でした。

ここで皆さんに質問です。

A社:時価総額は低いが、知名度もブランド価値がある。少し我慢して保有すれば手堅くテンバガーを期待できる。その後も伸び続けたら100倍も狙える会社。年利30%が期待リターン。

B社:時価総額が高く、誰もが知っている会社。大きく株価は上昇しないが、ほぼ確実に年利15%程度の株価上昇が見込める。

この2社に全財産を託すとしたらどちらを選びますか?ただし、この時点ではどの会社か分からないものとします。

私は、A社を選びました。単純に比較すると、当然リターンが大きい方を選ぶことと思います。皆さんもそうではないでしょうか?

では、A社とB社のどちらも期待リターンが15%/年だと仮定します。

A社:期待リターン15%/年

B社:期待リターン15%/年

この場合は、どちらを選びますか?

この場合でしたら、どちらでも良いと思います。

私自身、これならどちらでも良いと思います。

では、

スタジオアタオ:期待リターン15%/年

伊藤忠商事:期待リターン15%/年

この2社でしたら、どちらを選びますか?

この場合でしたら、私は絶対に伊藤忠商事を選びます。

これが、永続的優位性があるということです。

私は2~3流の会社に年利30%という過度な期待を抱き、超一流の会社が稼ぎ出す年利15%を選びませんでした。

この経験から、過度な期待は抱かずに確実に得られるリターンを算出して、同程度のリターンを得られる場合にどちらを選ぶかという検討方法をするべきだったと痛感しました。

永続的優位性のある会社に投資すること。そのこと自体が安全域を確保することになるのです。

結果としてはどうなったと思いますか?

スタジオアタオの株価は、コロナの脅威が過ぎ去った後も下がり続け、3年ほど握り続けた後に損切りして30%の損失を出しました。全資産の30%を私は失ったのです。

もし、伊藤忠商事に投資していたらどうなったか?

私がスタジオアタオではなく、伊藤忠商事に全財産を投資していた場合、資産は3倍ほどに膨れ上がっていたことでしょう。

そして恐ろしいことに、何も知らずに株をはじめ、コロナショックの時に伊藤忠商事の知名度だけで買っていた初心者は、年利20%という驚異的なリターンをたたき出しているのです。

スタジオアタオでの失敗

 株式投資において、成功の裏には必ず学びのある失敗が存在します。私にとってその一つが、スタジオアタオ株への投資でした。この経験は、株式投資のリスクや感情的な判断の危うさを痛感させられるものであり、今後の投資スタイルを見直す大きなきっかけとなりました。

スタジオアタオに対する大きな期待

 

 スタジオアタオに投資した理由は、いくつかの要素が完璧に見えたからでした。まず、右肩上がりの売上に高い営業利益率、そして30%を超えるROE(自己資本利益率)といった、指標上の魅力が際立っていました。さらに、私の知人女性のほとんどがスタジオアタオのブランドを知っているほどの高い知名度もあり、私はこの企業の成長性に確信を持ちました。

 この確信が強かったため、リスク分散をせずに、資産のほぼ100%をスタジオアタオの株に投じました。当時は、株価が10倍になる「テンバガー」を狙えると信じていたのです。しかし、結果としてこの期待は裏切られ、私にとって大きな失敗へとつながることになりました。

株価下落と売上減少

 私がスタジオアタオに投資してから、期待に反して株価は下がり続けました。当初は、短期的な調整だと思い、成長が再び加速するだろうと信じて握り続けました。しかし、さらなる悪いニュースが続き、売上までもが下がり始めました。これにより、私はこの企業に今後の成長を期待できなくなり、やむを得ず損切りを決断しました。

このとき最も悔しかったのは、他の選択肢を捨ててまでスタジオアタオに全力を注いだことです。特に、総合商社の株を購入するか悩んでいたことが心に残りました。当時の私は、スタジオアタオのように時価総額が低い企業が大きな成長を遂げることを信じ、そちらを選びました。しかし、その後ウォーレン・バフェットが総合商社株を購入し、これらの株価がどんどん上がっていくのを指をくわえて見ていることしかできなかったのです

失敗の要因

 今回の失敗で私が痛感したのは、過度な期待感情的なホールドの危険性です。スタジオアタオがテンバガーになるという確信を持ってしまい、冷静さを失っていました。株価が下がっても「いずれ上がる」と信じ、損切りのタイミングを逃し続けた結果、資産の大部分を失うことになりました。

 また、10倍のリターンを狙う「夢」を追いかけるよりも、より確実に得られる年利20%のリターンを選ぶべきだったと感じています。大きなリターンを狙うのは魅力的ですが、現実的な利益の積み重ねの方が重要であるという教訓を学びました。

学んだことと今後の投資戦略

この失敗から、いくつか重要な教訓を得ました。

 まず、損切りの重要性です。損失が大きくなる前に損切りする勇気を持つことが、投資においていかに大切かを痛感しました。また、感情に左右されず、冷静に判断するためのルールを事前に決めておくことが、損失を最小限に抑えるために必要だと感じました。

 次に、分散投資の必要性です。資産のすべてを一つの銘柄に注ぎ込むことは、大きなリスクを伴います。どれほど魅力的に見える銘柄でも、不測の事態に備えて資産を分散させることがリスク管理の基本であることを、今回の失敗を通じて学びました。

 さらに、バフェットがよく語る**「永続的な競争優位性」**について、より深く考えるようになりました。企業が一時的に成功しているように見えても、その優位性が永続的であるかどうかを見極めることが重要です。これを見逃したために、私はスタジオアタオの将来性を過大評価してしまいました。

終わりに

 スタジオアタオ株での失敗は、私にとって非常に痛い経験でした。しかし、この経験を通じて、投資のリスク管理や感情的な判断の危険性について深く学ぶことができました。今後は、確実なリターンを積み重ねるために、冷静な判断と分散投資を心掛け、よりバランスの取れた投資スタイルを構築していきたいと考えています。

偉大なる投資家との出会い

 ウォーレン・バフェットという人物をご存じでしょうか?株式投資を行っている人であれば一度は耳にしたことのある人物だと私は思っています。ただ、お恥ずかしい話ですが、私は以前までバフェットを馬鹿にしていました。短期売買であれば、一度の取引で20%どころか、2~3倍株を当てることができるし、実際に何度も大きな利益を出していたからです。長期投資は時間の無駄。機会損失。というのが、以前の私の考えでした。

 しかし、コロナショックによりほぼ全資産を失い、今のままの投資スタイルではだめだと思い、本格的に株の勉強をはじめました。そこで、最も感銘を受けた。今まで足りなかったパズルの最後の1つのピースが見つかったような気がする。それがウォーレン・バフェットでした。正確には出会ってはおらず、本で読んだ程度ですが。

 投資の世界には数多くの名だたる投資家が存在しますが、その中でも特に私に大きな影響を与えたのが、世界一の投資家と称されるウォーレン・バフェットです。彼の投資スタイルを知ることで、私の投資に対する考え方は大きく変わり、それは現在の投資スタイルにも強く反映されています。

バフェットに学ぶ「優良企業への長期投資」

 バフェットの存在を知る以前、私の投資は株価の変動ばかりに目を向けた短期的な視点に依存していました。しかし、バフェットの「素晴らしい企業に投資する」という哲学に触れたことで、株価だけでなく、企業そのものの強さや将来性に注目するようになりました。彼は、誰もが知る大企業の株を「悲観的な時期」に買い、相場が楽観的なときに売るという逆張りのアプローチを取っています。このスタイルは、単に価格の変動に依存する短期的な投機とは全く異なり、長期的な視野で資産を増やす方法です。

 バフェットは「株は企業の一部を所有すること」という考えを強調します。これは、単なる売買ゲームではなく、企業の価値そのものを理解し、その成長を信じて長期的に保有する姿勢です。この考え方に影響され、私も企業分析に力を入れるようになり、株価の上下に振り回されるのではなく、その企業が将来的にどのような成長を遂げるかを重視するようになりました。

投資スタイルの変化

 バフェットの投資哲学に触れる前の私は、株価の変動に一喜一憂し、短期的な利益を狙うことに集中していました。しかし、彼の「悲観で買い、楽観で売る」という考え方を知り、それが投資家としての私のスタイルを大きく変えるきっかけになりました。これまでの「株価の上昇局面で購入し、下落局面で手放す」という流れとは逆に、相場が下落しているときこそ、優れた企業の株を買い増し、相場が好転して人々が楽観的になったときに利益を確定するという戦略を取るようになったのです。

また、バフェットは短期的な市場の騒音に惑わされず、企業の本質的な価値に注目することを強調しています。これに従い、私は企業の財務状況や業界でのポジション、そしてその将来性を分析し、投資判断を行うようになりました。このように、単なる株価の動きに焦点を当てるのではなく、より総合的な視点で企業を評価する習慣が身についてきました。

試行錯誤しながら築く投資スタイル

正直に言えば、投資のパフォーマンスは劇的に向上しているわけではありません。しかし、バフェットの教えを取り入れたことで、大きな損失を避けることができるようになり、結果的に投資リターンは安定しています。以前のような衝動的な売買が減り、冷静に市場を分析し、長期的な視野で投資を続けることができるようになったのです。

もちろん、まだ試行錯誤の段階であり、自分自身の最適な投資スタイルを模索している途中です。しかし、ウォーレン・バフェットの哲学が私に与えた影響は計り知れず、これからも彼の考え方を大切にしながら、自分の投資スタイルを確立していきたいと考えています。

企業分析を本格的に始めることになったきっかけ

株式相場におけるコロナショック:

混乱の中で学んだ投資の教訓

 2020年初頭、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が始まったとき、株式市場には早くから不穏な空気が漂っていました。最初は「そこまで大きな影響はないだろう」という楽観的な見方が広がっていたものの、状況は急速に悪化しました。株価は瞬く間に急落し、世界中の市場が混乱に陥りました。

株価急落の背景とその影響

 株式相場は常に過剰反応する傾向があり、コロナショックの時も例外ではありませんでした。最初は「一時的な下げに過ぎない」と思われていたものの、パンデミックによる経済の停滞が明らかになるにつれ、企業業績にも大きな影響が出始め、株価の急落は一時的なものではなくなりました。この急落により、多くの投資家がパニックに陥り、売りが売りを呼ぶ悪循環が生じたのです。

 数年が経った今、振り返ってみると、あの時期は優れた企業の株を安値で購入する絶好の機会でした。しかし、当時の私はそれを見極めることができませんでした。多くの投資家が同様の感覚を抱いたことでしょう。市場のパニックに巻き込まれた私は、短期的な利益を狙って空売りに走りました。その一時的な戦略で小さな利益を得ましたが、相場が急反発した瞬間に、大きな損失を被ることとなり、最終的には資産がほぼゼロになってしまったのです

苦い経験から学んだ教訓

 この経験を通じて、私は株式市場の恐ろしさと同時に、投資の重要な教訓を学びました。市場が混乱している時こそ、冷静さを保ち、長期的な視点で企業の本質的な価値を見極める必要があるということです。

 一度大きな損失を出した私は、「このままではいけない」と感じ、本格的に株式投資の勉強を始めました。

長期的な視点の重要性

 コロナショックは、多くの投資家にとって厳しい試練となりましたが、その中で重要な教訓を得たことも事実です。市場は一時的にパニックに陥ることがありますが、優れた企業は長期的には必ず復活します。今思えば、あの時期は大きな成長の機会でしたが、当時はその価値を理解できませんでした。

 この経験から学んだことは、短期的な相場の動きに惑わされず、冷静に市場を見つめ続けることが成功への鍵であるということです。特に株式市場においては、忍耐と冷静さが勝利をもたらすのです。

 しかし、この時の経験から私は運命的な出会いをすることになりました。

 私の投資家としての人生を変えるためには必要不可欠な出来事だったのかもしれません。

投資スタイル

株式投資をメインに、長期的な資産形成と配当収入を通じて、より豊かな生活を目指しています。単に短期的な利益を追求するのではなく、将来的に大きなリターンを得ることが目標です。具体的には、3年ごとに資産を2倍にすることを目指して投資を続けています。

投資スタイルは、基本的に長期投資に軸を置いています。短期的な市場の変動は気にせず、将来の成長を見込んで株を保有するスタイルです。しかし、全てを長期で保有するわけではなく、実際には短期売買が全体の7割、長期投資が3割という割合でバランスを取っています。短期売買を行うことで、短期的なチャンスを活かしながらも、メインの資産形成は長期的な成長に委ねています。

投資信託には手を出さず、個別株への投資を中心としています。理由としては、個別株の方が自分で企業分析を行い、より高いリターンを得る可能性があると考えているためです。企業の四季報やIR情報、決算説明資料を参考にし、しっかりとした分析を行った上で投資判断を下しています。特に、企業の業績や今後の見通しを確認しながら、長期的に成長が見込める企業に投資することを心がけています。

このような投資スタイルを取ることで、将来の経済的自由やゆとりある生活を手に入れることを目指しています。リスクを取る部分もありますが、それ以上のリターンを期待して、今後も投資に取り組んでいきたいと思います。

自己紹介

ご挨拶

こんにちは!もっちーです。

これから株式投資を中心に、日々の生活や趣味について書いていきます。投資の世界は常に動いており、そこから得た知識や経験を皆さんと共有できればと思っています。また、ペットと過ごすリラックスした日常や、旅行の思い出もこのブログで発信していきます。

気軽にコメントやメッセージをいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします!

プロフィール

誕生年:1991年

家族構成:妻、長男

職業:薬剤師(調剤薬局)

趣味:株、アニメ、旅行、ドライブ

株式投資を始めたきっかけ

私が株式投資を始めたのは、将来の資産形成や経済的な自由を手に入れたいと考えたことが大きな理由でした。これまで貯金はしていたものの、銀行の金利だけでは資産が大きく増えないことを痛感していました。そのため、リスクを取ってでも、より大きなリターンを期待できる方法を探していたのです。

株式投資に興味を持つきっかけとなったのは、職場の主婦の方が投資で成功している話を聞いたことでした。株についての話を職場の先輩にするとすぐに株式市場に参入し、短期間で資産を増やしたというエピソードはとても印象的で、「自分も挑戦してみたい」と強く感じるようになりました。最初の頃は、先輩と同じように2ちゃんねるを見ながら銘柄を買って、短期で儲けてというような取引を行っており、実際に最初の3か月で資産を5倍にできたので、「これならすぐに億り人になれそうですね」と笑いながら話したのは良い思い出です。私はビギナーズラックに恵まれ、投資の面白さを実感したので、将来は株でご飯を食べていきたいと思うようになりました。

最初に購入した株は、ゲオでした。当時はレンタルビデオ店として圧倒的な立ち位置に居る会社だと思っており、株主優待もレンタル半額というとても良いものでした。絶対に潰れないという安心感があり、初心者でも理解しやすい投資先だと感じました。また、私に株を教えてくれた主婦の方からも「大きい会社だけ買っといた方がいいよ」と言われたことを覚えていたので、それを忠実に守っていました。ただ、私が買ってすぐに株価は下がり、100株しか買っていないにも関わらず1日で5000円もの含み損を抱えました。最初の1か月は含み益で終わることが1日もなく、ただただ「株辛い」と思っていました。しかし、私の隣で同じくらいの時期に株を始めた先輩は、「今日5万儲かりました」とか、「トータル50万勝ちました」とか、私の全財産以上の利益をどんどんあげていき、それをうらやましく思って私も同じようなやり方でトレードを行うことにしました。

結果として、元手50万で始めた資産は3か月で250万まで増えていました。これが私を株に夢中にさせるきっかけとなりました。