PERベースで割安株を判断する

1. PERとは何か?

PER(Price Earnings Ratio:株価収益率)とは、株価がその会社の1株あたりの純利益(EPS)に対してどれくらいの倍率で取引されているかを示す指標です。具体的には、次の式で表されます。

PER = 株価 ÷ 1株あたりの利益(EPS)

例えば、ある企業の株価が1,000円で、EPS(1株当たりの利益)が100円の場合、PERは「10」となります。これは、投資家がその会社の1円の利益を得るために、10倍の価格を払っていることを意味します。

2. PERの基準:割安株をどう判断するか

一般的に、PERが低いほど「割安」、高いほど「割高」と判断されることが多いです。しかし、業種や市場全体の状況によって適切なPERの範囲は異なります。

  • PERが低い:会社が安定した利益を生み出しているにもかかわらず、市場が過小評価している可能性がある。
  • PERが高い:期待成長が高い、あるいは市場が過大評価している可能性がある。

目安として、PERが15倍前後は「適正」、20倍を超えると「割高」、10倍以下は「割安」とされることが多いです。しかし、これだけで判断するのは危険です。会社の成長性や業績、業種によって基準が異なるため、他の指標と併せて確認することが重要です。

と、ここまでは既にご存じの方も多いでしょう。

しかし、最後に述べているように個人的にはPERだけで判断するのはあまりおススメしません。というより、PERだけで判断する場合は、短期的なトレードになるもしくは、ビギナーズラックで儲けて将来的に大きなお金を失うと考えています。

では、どうするか?私は、PERから一歩踏み込んだ株価益回りで考えるようにしています。

3. 株価益回りを使った割安株の評価

PERと同様に、株価益回り(Earnings Yield)も割安株を見つけるための指標として有効です。株価益回りは、PERの逆数として計算されます。

株価益回り = 1 ÷ PER × 100

例えば、PERが10の場合、株価益回りは10%となります。株価益回りは、株主が投資した金額に対してどれくらいのリターンを得られるかを示す指標です。この数値が高いほど、投資家にとっては「割安」な投資先であることを意味します。

要するに、株を債権として考えるという方法です。PER10倍である株を購入した場合、EPSが全く変化しないと仮定すると利回りは10%であるため、10年で元が取れます。この利回り10%が実際に株主にどれくらいの利益をもたらしてくれるのかは、経営者次第です。

もし、仮に経営者が1年間に稼いだ全ての利益を配当として株主に還元すると発表した場合、EPS=配当金となり、PER10倍の場合には配当利回りが10%となります。

4. 株価益回りの活用法

株価益回りは、他の投資商品(国債や社債など)と比較するのに役立ちます。例えば、株価益回りが5%の株式と、国債の利回りが1%の場合、株式の方がリターンが期待できると考えられます。しかし、株式にはリスクが伴うため、単純な数値だけでなく、企業の健全性や成長性を総合的に評価する必要があります。

この株価益回りを使うことで、私は現在米国株への投資を控えた方が良いと判断しています。ちなみに最近のS&P500のPERは28倍です(2024.9.19)。

この場合、株価益回りは約3.5%となります。

一方で米国債利回りは約4%(2024.9.19時点※9月18日に0.5%の利下げ)

利下げ前の場合、米国債利回りは4.5%であり、S&P500の株価益回りを約1%上回っていました。

そう考えた場合、どちらに投資した方がより確実に大きいリターンを得ることができると期待できるでしょうか?

私は米国債の方だと思い、米国株への投資を控えています。

では、米国債を買うことが賢明であるか?

その判断をするには、為替レートを考慮する必要があります。

現在の為替レートは1ドル=143円(2024.9.19時点)です。

私は、これを円安だと思っています。

適正なレートは分かりませんが、個人的には110円くらいが妥当ではないかと考えています。

今米国債を日本円で買ったとしたて、為替が30%円高に振れた場合、米国債の利回りは円換算で3%程度まで下落します。この仮定が必要かどうかは分かりませんが、より確実な投資を行うためには少し厳しめの数字を使う方が良いと思っています。

それに対して、日経225のPERは14.8倍(2024.9.19時点)

つまり、株価益回りは6.75%です。これを米国債と比較した場合約3.7%も日経225の利回りが高いことになります。

そう考えて、私は今は日本株に投資する方が賢明ではないかと考え、日本株に集中投資しています。

成長株に対してどのようにPERを使えばよいか?

急速に成長する企業の場合、現在のPERはほぼ無意味となります。その場合、将来期待できる収益を現在の価値で考えなければなりません。

例えば、今のEPSが10。PERが30倍で株価が300円とします。

PERだけで見る場合、この企業は投資対象から外すこととなるでしょう。

しかし、EPSが100円まで成長した場合、PERが30倍の場合株価は3000円。PERが15倍だとしても株価は1500円となります。

もし、将来期待できる収益を100円と予測していた場合、それを現在の価値である株価300円で考えると、PERはたったの3倍となります。つまり、株価益回りは33%です。

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